中小企業のAI導入の進め方|業務の選び方とチェックリスト

中小企業でAI導入を始めるなら、まず「毎週繰り返していて、担当者が正しさを確認できる仕事」を一つ選びましょう。この記事では、業務を書き出すための記入例から、試行前の確認、結果の比べ方までを紹介します。担当者同士の打ち合わせで、そのまま使えるチェックリストも用意しました。
1.AIを使いたい業務を具体的に書き出す
「営業を効率化する」では範囲が広いため、「問い合わせメールの返信案を作る」のように、成果物がわかる単位に分けます。候補としては、会議メモの整理、社内資料の下書き、公開済み情報の要約などが考えられます。問い合わせ対応や会議録・文書作成は、IPAが紹介するAI導入パターンにも含まれています。IPAのAI利活用解説
次の項目をメモやExcelにコピーし、実際の業務に置き換えてください。
業務名:問い合わせメールの返信案作成
担当者:営業担当
頻度:週に何件あるかを記入
現在の時間:1件あたりの実測時間を記入
入力に使う資料:承認済みの回答集
完成させたいもの:担当者が確認する返信案
最終確認する人:送信を担当する社員
これは書き方の例であり、特定企業の導入実績ではありません。最初は候補を三つ程度に絞ると比較しやすくなります。
2.最初の業務を選ぶ五つのチェック
候補ごとに、次の点を確認します。
繰り返し発生し、現在の手順を説明できる
入力に必要な資料がそろっている
正しいかどうかを担当者が確認できる
入力情報を社内で認められた範囲に絞れる
誤りがあっても、外部送信や処理の実行前に止められる
確認者がいない業務や、間違いがそのまま契約・支払い・顧客対応に反映される業務は、最初の試行から外すことを検討してください。チェックの数だけで決めず、不明な項目を担当者と確認するために使います。
3.架空の情報で指示文を試す
利用を認められた生成AIで、まずは架空の情報を使って試します。次の指示文の角括弧部分を置き換えてください。実際の顧客情報を入れる前には、利用サービスの契約や社内ルールを確認します。
次の資料だけを使い、問い合わせへの返信案を作成してください。
目的:[問い合わせに回答する]
相手:[既存の取引先担当者]
問い合わせ:[架空の問い合わせ文]
参照できる情報:[回答集の該当部分]
条件:丁寧な文体で、件名と本文を出す。資料にない事実、価格、納期を追加しない。不明点は回答に混ぜず、最後に「要確認」として列挙する。
指示文を工夫しても、出力の正確さが保証されるわけではありません。回答集と見比べ、補われた情報がないか確認してから使いましょう。
4.準備と手直しまで含めて比べる
記録するのは生成を待った時間だけではありません。「資料の準備」「指示の入力」「生成」「確認」「修正」を含めた合計時間を、従来の方法と比べます。似た難しさの作業を複数回試し、修正した箇所も残してください。初回の設定や練習時間は、日常の作業時間と分けて記録すると判断しやすくなります。
速くなっても誤りが増えた場合は、資料や指示を見直します。改善しなければ別の業務へ切り替えることも選択肢です。IPAも誤情報や情報漏洩をAI利用の課題として挙げています。IPAのAIセキュリティ解説
まずは上の記入例を埋め、一つの業務で試すところから始めてください。対象業務や社内での進め方を整理したい方は、MiyabeeのAI導入支援をご覧ください。
